マウスピース矯正前・矯正中に虫歯が見つかった場合の対処法とは?予防のための7つのポイントも解説!

マウスピース矯正前・矯正中に虫歯が見つかった場合の対処法とは?予防のための7つのポイントも解説!

「マウスピース矯正を始めたいけれど虫歯があるかも…」「矯正中に虫歯が見つかったらどうしよう」そんな不安をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

虫歯の発見は矯正治療の妨げになるのではと心配される方も多いですが、適切に対処すれば治療を継続できる場合もあります。

この記事では、マウスピース矯正前・矯正中に虫歯が見つかった際の具体的な対処法と、虫歯を予防するための7つのポイントを詳しく解説します。

正しい知識を身につけて、安心してマウスピース矯正を進めていきましょう。

この記事の監修者

岩月院長

歯科医師・歯学博士 岩月 宏文

JR鶯谷駅北口すぐの「うぐいす谷駅前歯科」院長。大学院では麻酔学を専攻し、痛みに配慮した歯科医療を追求。治療においては「できるだけ抜かない・削らない・痛くない」を診療方針に掲げ、丁寧な説明と患者の気持ちに寄り添う姿勢を大切にしている。

目次

【状況別】マウスピース矯正前・矯正中に虫歯が見つかった場合の対処法!

これらの判断は虫歯の状況や歯科医師の判断によっても異なる場合がありますので、必ずかかりつけの先生に相談をするようにしましょう。

【マウスピース矯正開始前】すでに虫歯がある場合は?

虫歯の治療が完了した段階でマウスピース矯正を行う

マウスピース矯正は患者様の歯並びに合わせてオーダーメイドで作成するため、治療開始後に虫歯で歯の形が変わるとマウスピースが適合しなくなります。

また、虫歯は放置すると進行する疾患のため、早期治療が重要です。

一般的な虫歯治療は軽度なら1〜2回、中等度なら3〜5回の通院が必要で、根管治療が必要な場合はさらに治療期間と回数がかかります。

矯正開始前に虫歯がある場合にはそれらの治療を優先し、治療が完了した後にマウスピース矯正を行う形となります。

【マウスピース矯正中】に初期虫歯が見つかった場合は?

作成したマウスピースの適合に影響ない程度の虫歯であれば継続も可能な場合もある

虫歯が初期段階で、治療によって歯の形が大きく変わることがない場合は、矯正治療を継続しながら虫歯治療が可能です。

CO(初期虫歯)は歯の表面が白く濁る程度で穴は開いていない状態を指します。

小さな詰め物程度であればマウスピースの適合性に影響せず、矯正スケジュールを変更せずに治療を完了できる場合もあります。

【マウスピース矯正中】部分的な治療が必要な虫歯の場合は?

小さい虫歯であれば治療計画に影響を抑えて治療を行い継続も可能な場合もある

C1〜C2の虫歯では小さな詰め物での治療が一般的で、適切に行えばマウスピースの適合性への影響は最小限に抑えられます。

治療タイミングは新しいマウスピース作成期間中が最適で、マウスピース矯正中は6ヶ月〜2年程度の治療期間中に新しいマウスピースを作成する期間があるため、そのタイミングで虫歯治療を行うなども場合によっては可能です。

【マウスピース矯正中】虫歯の進行によっては一時中断が必要な場合も!?

C3以上の虫歯で強い痛みを生じる場合は一旦矯正を中断し、虫歯治療を優先させます。根管治療が必要な判断基準は、虫歯が歯の神経まで達して激痛や腫れがある場合です。

歯を削ったり抜歯した後に被せ物等で補綴治療を行うため、歯の形状が大きく変わります。

中断期間中は数週間〜数ヶ月の間マウスピースが装着できない可能性があり、歯の後戻りが起こるリスクがあります。

このためマウスピースの再調整・再作成が必要となり、追加費用が発生する場合があります。治療計画の見直しも必要になるため、その点はかかりつけの先生に確認をするようにしましょう。

マウスピース矯正中は虫歯になりやすい?その理由を解説!

1:唾液の自浄作用が装着中は制限される

マウスピース矯正で注意すべき点は、唾液の働きが制限されることです。唾液には口の中をきれいに洗い流し、細菌を中和する大切な役割があります。

しかし、マウスピースを1日20時間程度装着することで、唾液の流れが大幅に妨げられてしまいます。研究ではマウスピース装着中は唾液の量が約30-40%減少し、口の中も酸性に傾きやすくなることが分かっています。

この状態が続くと、本来であれば唾液によって洗い流される細菌や酸が歯に長時間付着し、虫歯のリスクが高まる可能性があります。

2:食べかすがマウスピース内に密閉される

マウスピース装着前のお口のケアが十分でない場合、残った食べかすや糖分がマウスピース内に閉じ込められてしまいます。

この密閉された環境では、通常なら唾液や舌の動きで取り除かれる汚れが、長時間歯に触れ続けることになります。特に問題となるのは、細菌が糖分を分解して作る酸です。

マウスピース内という狭い空間では、この酸が薄まりにくく、歯を溶かすリスクが通常の2-3倍になるという研究結果もあります。そのため、装着前の丁寧なお口のケアがとても重要になってきます。

3:口腔内の乾燥により細菌バランスが悪化

マウスピースを装着すると口の中が乾燥しやすくなり、口の中にいる細菌のバランスが崩れやすくなります。

健康な状態では、良い菌と悪い菌が適度なバランスを保っていますが、乾燥によって唾液に含まれる細菌と戦う成分の働きが弱くなってしまいます。

その結果、虫歯の原因となる細菌が増えやすい環境になってしまうのです。

4:マウスピース自体が細菌の住み家になる

マウスピースの表面には、使用しているうちに細菌が付着します。細菌が分泌する物質に守られた強固な細菌の集まりで、水で洗うだけでは簡単に取り除けません。

マウスピースを装着するたびに、この細菌が口の中に戻ってしまうことになります。そのためマウスピース自体を清潔に保つために専用のクリーナーなどでの定期的なお手入れが欠かせません。

5:外出先だと口腔ケアがしっかりできない

外出先での食事後は、ご自宅と同じような完璧なお口のケアを行うことが難しい場合が多くあります。簡単なうがいや歯磨きだけでは、歯と歯の間や歯茎の境目に残った食べかすや細菌を完全に取り除くことができません。

この不十分な状態でマウスピースを再装着すると、残った汚れが密閉された環境で長時間歯に触れ続けることになります。外出時のケア方法を工夫することが大切です。

6:装着前のケアが不十分になりがち

忙しい毎日の中で、マウスピース装着前のお口のケアが簡単になってしまうことはよくあります。

特に夜寝る前や朝の準備時間では、疲れていたり時間がなかったりして、デンタルフロスや歯間ブラシを使った丁寧なケアを省いてしまいがちです。

しかし、装着前のケアの質が、その後の装着中の20時間前後にわたるお口の環境を左右します。短時間でも効果的なケア方法を身につけて習慣にすることが虫歯予防の大切なポイントとなります。

マウスピース矯正中の虫歯予防法7選!

虫歯予防の7つのポイント
  • 飲食時はマウスピースを取り外す
  • マウスピースを装着する前の口腔ケアを徹底する
  • マウスピース自体も清潔に保つ
  • 口の中が乾かないように水分補給をする
  • 食事内容と食事の頻度・タイミングに気をつける
  • 矯正中の定期検診をしっかりと受ける
  • 全身的な健康のために生活習慣を整える

1. 飲食時はマウスピースを取り外す

マウスピース矯正中の虫歯予防で一番大切なのは、飲食時の適切な取り外しです。

マウスピースを装着したまま食事をすると、食べかすや糖分がマウスピースと歯の間に挟まり、細菌の温床となってしまいます。

水以外の飲み物も同様で、特に糖分を含むジュースやコーヒーは要注意。毎回の食事前には必ずマウスピースを外し、食後は歯磨きをしてから再装着しましょう。この習慣を身につけることで、虫歯リスクを大幅に減らすことができます。

2. マウスピース装着前に口腔ケアを徹底する

歯磨きが不十分なままマウスピースを装着すると、汚れや細菌がマウスピース内に閉じ込められ、長時間歯に付着し続けることに。

これは虫歯菌にとって最高の環境です。

装着前には必ず丁寧な歯磨きとフロスでのケアを行い、可能であればマウスウォッシュで仕上げましょう。特に就寝前は念入りに行います。お口の中がすっきりした状態でマウスピースを装着することで、一日中清潔な環境を保つことができます。

3. マウスピース自体も清潔に保つ

使用後のマウスピースには唾液や細菌が付着しているため、そのまま放置すると雑菌が繁殖してしまいます。

毎回取り外した際には、専用クリーナーや中性洗剤で優しく洗浄し、しっかりと乾燥させましょう。歯ブラシでこすり洗いする際は、傷をつけないよう柔らかいブラシを使用することが大切です。

また、週に数回は専用の洗浄剤に浸けておくとより効果的。清潔なマウスピースは、お口の健康を守る大切なパートナーですね。

ただし、マウスピース矯正のブランド・種類によって推奨の洗浄剤が異なる場合があるため、それぞれに合った洗浄剤を使用するようにしましょう。

4. 口の中が乾かないように水分補給をする

マウスピース装着中は唾液の循環が制限され、口の中が乾燥しがちになります。

唾液には細菌を洗い流し、口の中を中性に保つ重要な役割があるため、口の乾燥は虫歯リスクを高めてしまいます。

こまめな水分補給で口の中の潤いを保ちましょう。ただし、糖分を含む飲み物は避け、基本的には水を選んでください。また、無糖のガムを噛むことで唾液分泌を促進するのも効果的。お口の潤いを保つことで、自然な浄化作用を最大限に活用できますよ。

5. 食事内容と食事の頻度・タイミングに気をつける

マウスピース矯正中は、いつも以上に食事の内容とタイミングが重要になります。

糖分や酸性の強い食べ物は虫歯菌のエサとなるため、摂取量を控えめにするなどの工夫も効果的です。

また、だらだら食いは口の中が酸性状態に長時間さらされるため要注意です。理想的なのは決まった時間にしっかりと食事をとり、間食は控えめにすること。

どうしても間食したい場合は、チーズやナッツなど虫歯になりにくい食品を選びましょう。

6. 矯正中の定期検診をしっかりと受ける

マウスピース矯正中は、通常以上に定期検診が大切になります。マウスピースで見えにくくなった部分に虫歯ができていても、初期段階では気づきにくいもの。

歯科医師による専門的なチェックで、小さな変化も見逃さずにキャッチできます。また、矯正の進行状況と合わせて口腔ケアのアドバイスも受けられるので安心です。

検診では、普段のケアでは取り切れない汚れもプロフェッショナルクリーニングで除去。お忙しい中でも、予定通りの検診受診を心がけることで、美しい歯並びと健康な歯の両方を手に入れることができます。

7. 全身的な健康のために生活習慣を整える

お口の健康は全身の健康と密接に関係しています。十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事は、免疫力を高め、口腔内の細菌バランスを整える効果があります。

特にビタミンCやカルシウムは歯の健康に欠かせない栄養素。また、ストレスは唾液分泌を減少させ、虫歯リスクを高めるため、適度な運動や趣味でのリフレッシュも大切です。

禁煙も重要なポイント。タバコは口腔内の血行を悪くし、細菌への抵抗力を弱めてしまいます。マウスピース矯正をきっかけに、お口だけでなく全身の健康も見直してみませんか?

マウスピース矯正と虫歯に関するよくあるご質問

患者さんからよくお聞きするその他のご質問について、簡潔にお答えいたします。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の虫歯リスクについて

ワイヤー矯正では複雑な構造により食べかすが詰まりやすく清掃が困難ですが、マウスピース矯正は取り外して通常通りの歯磨きができ、装置自体も洗浄可能です。どちらもそれぞれに適した口腔ケアが重要になります。

まとめ

マウスピース矯正中の虫歯予防は、正しい知識と適切なケアがあれば十分に実現できます。飲食時の取り外し、装着前の丁寧な口腔ケア、マウスピース自体の清掃など、基本的なポイントを習慣化することが大切です。

万が一虫歯が見つかっても、早期発見・早期治療により矯正を継続できる場合がほとんどです。美しい歯並びと健康な歯を両立させましょう。

マウスピース矯正前・矯正中に虫歯が見つかった場合の対処法とは?予防のための7つのポイントも解説!

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